北の大地で農民として生きながら、絵を描くことに短い命を燃やした孤高の画家、神田日勝(1937~1970)。東京で生まれた日勝は、7歳のときに北海道の十勝地方・鹿追に一家で入植し、荒地を開墾する厳しい生活を送りながら、次第に絵画への関心を高めていきました。18歳の頃から本格的な制作を始め、身近な事物を題材とし、ひと筆ひと筆に魂をこめて描いた力強いその作品は、徐々に高い評価を受けるようになりましたが、新たな境地に踏み出そうとしていた矢先の1970年、病気のため、32歳の若さで亡くなりました。
神田日勝の没後50年の節目に開催される本展では、代表作を一堂に介し、その画業を回顧します。さらに最新の研究成果を踏まえながら、日勝に影響を与えた画家の作品もあわせて展示し、同時代の美術に敏感に反応していた、感受性豊かな日勝芸術の広がりをご紹介します。